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曲げ加工におけるV・U・Lの違いを知り、効果的な選択をする方法
目次
導入:ただ曲げるだけではない?奥深い「プレス曲げ加工」の世界
「金属の板をL字に曲げたいが、図面にはどう指示すればいいのか?」
「V曲げとL曲げ、どちらを選べばコストが安くなるのか知りたい」
「量産を考えているが、品質が安定する曲げ加工の方法は?」
金属製品の製造において、最も基本的でありながら、製品の品質を大きく左右するのが「プレス加工による曲げ」です。自動車のボディ、家電のカバー、建築金具など、私たちの身の回りにある金属製品のほとんどは、何らかの「曲げ」が施されています。
しかし、一口に「曲げ加工」と言っても、その手法は様々です。一般的に使われる「V曲げ」「U曲げ」「L曲げ」には、それぞれ明確な得意分野と苦手分野があります。これらを理解せずに形状を決めてしまうと、「金型費用が高くなる」「寸法が安定しない」「強度が足りない」といったトラブルに直結しかねません。
この記事では、プレス加工の発注を検討されている担当者様に向けて、代表的な3つの曲げ加工の違いと、それぞれのメリット・デメリットを徹底解説します。また、大量生産におけるコストダウンのポイントや、泉商事が得意とする大型プレス機を用いた一貫生産についてもご紹介します。
基礎知識:プレス加工における「曲げ」とは?
各加工法の解説に入る前に、まずはプレス加工における「曲げ」の基本原理を押さえておきましょう。
プレス加工とは、対になった金型の間に金属の板を挟み込み、強い圧力をかけて成形する技術です。その中でも「曲げ加工」は、平板の金属を立体的な形状に変えるための最も重要な加工の一つです。
その原理は「塑性変形」と「スプリングバック」です。
金属には、ある程度の力までは元の形に戻ろうとする性質と、限界を超えた力を加えると変形したまま戻らなくなる性質(塑性)があります。
プレス曲げ加工は、この「塑性」を利用しています。しかし、ここで厄介なのが「スプリングバック」という現象です。
- スプリングバックとは:金属を90度に曲げても、圧力を除くと金属の弾性によって少しだけ元の形に戻ろうとし、角度が91度や92度になってしまう現象のことです。
材料の材質、板厚により、スプリングバックの量(率)が変わります。この特に、ステンレスや高張力鋼板などの硬い材料ほど、このスプリングバックが強く出ます。
そのため、高品質な曲げ加工を行うためには、この戻り量をあらかじめ計算して「90度より深く(例えば88度で)曲げる」といった高度な金型設計ノウハウが必要になります。
徹底比較!V曲げ・U曲げ・L曲げの違いと特徴
製品の形状や生産数によって、最適な曲げ方は異なります。ここでは代表的な3つの工法について解説します。
1. V曲げ:最も汎用的で基本の形
その名の通り、断面が「V字」になるように曲げる加工です。
V字型の溝がある下型(ダイ)に材料を置き、上からV字型のパンチで押し込みます。90度のL字型を作りたい場合でも、基本的にはこのV曲げ加工を用います。
- 特徴:構造がシンプルで、最も広く使われている方法です。角度の調整がしやすく、鋭角(30度など)から鈍角(120度など)まで幅広く対応できます。
- メリット:金型構造が単純なため、初期費用(金型代)を抑えやすい傾向があります。「突き当て曲げ(ボトミング)」を行えば精度も出しやすいです。
- 主な用途:ブラケット( 取り付け 金具)、アングル材、補強板など。
2. U曲げ:強度と剛性を生み出す
材料を「U字」の形に一度の工程で曲げる加工です。
主にチャンネル形状(溝形)を作る際に用いられます。材料が動かないように「パッド」と呼ばれる部品で底面を押さえつけながら、パンチで押し込んで成形します。
- 特徴:1回のプレスで左右2箇所を同時に曲げることができます。底面が平らで、両サイドが立ち上がった形状になります。
- メリット:底面の平面度が高く、製品の剛性(歪みにくさ)を確保しやすいのが特徴です。寸法精度が安定しやすく、大量生産に向いています。
- 主な用途:カバー類、機械のフレーム、レールのガイドなど。
3. L曲げ:端部の立ち上げに最適
材料の端(エッジ)部分だけを片側に折り曲げる加工で、「フランジ曲げ」や「ヘミング曲げ(折り返し)」の前工程としても使われます。
一般的には、材料を固定した状態で、カンチレバー状に出た部分をパンチで押し曲げます。
- 特徴:V曲げとは異なり、材料全体を大きく動かさずに端部だけを加工できます。
- メリット:狭い場所での加工や、すでに他の穴あけ加工などが終わっている製品の端部処理に適しています。プレス金型の中でよく使われる手法です。
- 主な用途:パネルの縁、溶接用ののりしろ部分、箱物の四隅など。
【比較表】3つの曲げ加工の特徴まとめ
| 種類 | 形状イメージ | 主な特徴 | コスト感 | 適した生産 |
|---|---|---|---|---|
| V曲げ | V字・L字 | 最も一般的。 角度調整が自由。 |
安価(汎用的) | 小~大ロット |
| U曲げ | U字・コ字 | 2箇所同時曲げ。 底面の平面度が高い。 |
中~高(専用型) | 中~大ロット |
| L曲げ | 端部L字 | 端部の立ち上げ。 材料を固定して加工。 |
中(専用型) | 大ロット |
失敗しない選択:最適な曲げ加工を選ぶ3つの基準
では、実際に製品を作る際、どのように加工方法を選べばよいのでしょうか。発注者側が意識すべきポイントは以下の3つです。
- 1. 生産数量(ロット数):数個~数百個なら汎用的な金型で対応できる「V曲げ」がコスト的に有利です。一方、数千~数万個の量産であれば、専用の金型を作って「U曲げ」や「L曲げ」を組み込んだ「プレス加工」を行う方が、1個あたりの単価を圧倒的に安くできます。
- 2. 製品の精度要求:底面の平らさが必要なカバーなどの場合、V曲げを2回行うよりも、U曲げで一発成形した方が歪みが少なく、精度が出やすい場合があります。
- 3. 材料の厚みと硬さ(鉄材など):厚みのある鉄板などを曲げる場合、非常に大きな圧力が必要になります。単純な曲げであっても、トン数の大きなプレス機を持っている工場でなければ加工できません。
泉商事の強み:大型プレスと一貫生産で実現するコストダウン
プレス曲げ加工は、単に「曲がっていればいい」というわけではありません。
特に自動車部品や産業機械などの鉄製品においては、強度、精度、そして大量生産時のコスト管理が重要になります。
泉商事株式会社は、一般的なプレス工場とは異なる以下の強みを持っています。
1. 大型プレス機による厚物・広幅加工
当社は大型のプレス加工設備を保有しており、小さな金具から、自動車のボディパーツのような大型製品まで対応可能です。
特に、通常の工場では対応が難しい「厚板の曲げ」や「深絞り加工(一枚の板を容器状にする難加工)」も得意としています。
「他社で断られた厚みのある部品」や「複雑な形状」も、ぜひ一度ご相談ください。
鉄材加工から塗装・組立まで「ワンストップ」の価値
曲げ加工が終わった部品は、そのままでは完成品になりません。通常は、別の工場へ運んで溶接し、さらに別の工場で塗装し、最後に組み立てる…という長い旅を経ます。
しかし、泉商事ならそのすべてを「社内一貫」で行えます。
- プレス・板金: 大型プレス機やレーザー加工機で成形。
- 溶接: プレスした部品同士をロボット溶接などで強固に接合。
- 塗装: カチオン電着塗装などの表面処理で防錆・仕上げ。
- 組立: 最終製品のアッセンブリーを行い、梱包して出荷。
この「一貫生産体制」により、お客様は横持ち輸送コストをゼロにし、リードタイムを大幅に短縮することができます。また、万が一品質トラブルが起きた際も、責任の所在が明確であり、迅速な対応が可能です。
プレス加工から 溶接、塗装、 組立までワンストップ対応
大型プレス機による深絞り・曲げ加工に対応。
鉄材加工のトータルコストダウンをご提案します。
お見積もり・ご相談は無料です。
まとめ:曲げ加工の品質・量産のご相談は泉商事へ
本記事では、プレス加工における「曲げ」の種類と選び方について解説しました。
- V曲げ: 最も基本的で汎用性が高い。小ロットから対応可能。
- U曲げ: 剛性が高く、カバーやフレーム等の量産に最適。
- L曲げ: 端部の処理の加工に向いている。
- 重要なのは、生産数や精度に合わせて最適な工法と設備を選ぶこと。
泉商事では、お客様の図面を拝見し、「V曲げでいくべきか、専用型を作って加工すべきか」といった、コストと品質のバランスを考慮した最適なVA/VE提案を行っております。
「鉄材のプレス加工業者を探している」「大型の部品を曲げたい」「塗装や組立まで丸投げしたい」というご担当者様は、ぜひ豊富な設備と実績を持つ泉商事へご相談ください。
鉄材のプレス加工・深絞りは泉商事へ
500トンクラスの絞り用油圧プレス機を保有。
金型設計からプレス、溶接、塗装、組立まで。
一貫対応によるコストダウンと短納期を実現します。
