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板金と溶接の違いをわかりやすく解説|工程の関係性と使い分け方

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導入:「板金」と「溶接」の違い、説明できますか?

「金属でオリジナルの棚を作りたい」「装置のカバー(筐体)を発注したい」と考えたとき、「板金」 と「溶接」 という言葉は必ず出てきます。しかし、この2つの加工がどのような関係で、どちらが何を担当しているのか、正確に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか。

「板金加工だけ頼めば、箱は完成する?」「溶接って、全部同じじゃないの?」「TIG溶接 という言葉を聞いたが、アーク溶接 と何が違う?」

これらの疑問を放置したまま発注先を選ぶと、「思っていた仕上がりと違う」「不要なコストがかかってしまった」「強度が足りなかった」といった失敗に繋がりかねません。特に、製品の「見た目(美観)」と「強度」は、溶接の「使い分け」に大きく左右されます。

この記事では、金属加工の発注を検討されている担当者様に向けて、以下の点をわかりやすく解説します。

  • 「板金」と「溶接」の根本的な違いと、製造工程における「関係性」
  • なぜ「溶接」が必要なのか、その役割と重要性
  • 代表的な溶接方法(TIG溶接、アーク溶接、抵抗溶接) の特徴と使い分け方
  • 「板金」と「溶接」を別々の業者に頼むリスク

結論から言うと、「板金加工」は部品を作る工程 であり、「溶接加工」はそれらを組み立てる(接合する)工程 です。この記事を読めば、2つの違いが明確になり、貴社の製品に最適な加工方法と、信頼できるパートナーを見極めるポイントがわかります。

板金と溶接の関係性|「箱」を作るための2つのステップ

「板金」 と「溶接」 は、金属製品、特に箱物(筐体)や立体的な構造物を作る際に、切っても切れない関係にあります。多くの場合、「板金加工」が前工程、「溶接加工」が後工程として、一つの流れ作業の中で行われます。

例えば、1枚の金属板から「フタのない四角い箱」を作るプロセスを想像してみてください。

  1. 設計・展開(板金) まず、完成形の箱を開いた状態(展開図)を設計します。
  2. 切断(板金) 大きな金属板から、展開図の形にレーザー加工機やタレパン(NCT)で切り出します。
  3. 曲げ(板金) 切り出した板をプレスブレーキ(ベンダー)という機械で、「折り紙」のように正確に折り曲げ、箱の「底面」と「4つの側面」を作ります。
  4. 接合(溶接) この時点では、箱の「角」の部分(側面と側面が合わさる箇所)はまだ開いています。この開いた角の部分を、「溶接」 によって熱で溶かして接合し、初めて「箱」としての一体的な構造が完成します。

このように、「板金」と「溶接」は、一連の製造プロセスにおける「成形」と「組立・接合」という異なる役割を担っているのです。

「板金加工」の役割:切断と曲げで部品を成形

一般的に「板金加工」と呼ばれる工程は、金属の板(鋼板、ステンレス板、アルミ板など)を、「切る」「穴を開ける」「曲げる」といった加工を指します。
主な目的は、製品の「部品」を平面または二次元的な曲げまでで成形することです。金型を必要としない(あるいは汎用金型を使う)ため、試作品や多品種小ロット生産、大型の筐体(ケース)などの製造に適しています。

  • 切断・穴あけ(ブランク加工): レーザー加工機やタレットパンチプレス機を使い、図面データ通りに板を精密に切り出したり、穴を開けたりします。
  • 曲げ加工: プレスブレーキ(ベンダー)を使い、切り出した板材をV字やL字に高精度で折り曲げます。

しかし、板金加工(切断・曲げ)だけでは、通常、継ぎ目のない立体的な「箱」や「筒」を完成させることはできません(※プレス絞り加工 は例外)。そこで「溶接」 が必要になります。

「溶接加工」の役割:部品同士を接合し、立体製品へ

「溶接加工(Welding)」 とは、2つ以上の金属部品の接合部分に熱(または圧力)を加え、材料自体を溶かして(あるいは溶加材と共に)一体化させる接合技術です。ネジやリベット(鋲)と違い、一度接合すると分解できない「永久接合」である点が特徴です。

板金加工において、溶接は主に以下の役割を果たします。

  1. 立体的構造の完成: 上記の「箱」の例のように、曲げだけでは閉じられない部分を接合し、製品に強度と剛性を持たせます。
  2. 部品の取り付け: 板金で作った筐体に、ヒンジ(蝶番)、取っ手、内部の固定用ボス(ネジ穴)といった別部品を取り付ける際にも溶接が使われます。
  3. 水漏れ・気密性の確保: 溶接によって金属同士が一体化するため、水や油を入れるタンクなどの「水密性」「気密性」を確保することができます。(※具体的な実績商材例 として、業務用厨房機器のシンクや、自動車のオイルパンなどがこれに該当します)

泉商事では、鉄材をメインとした板金加工から、後工程である各種溶接、さらに塗装、組立まで、すべてを自社工場で一貫して行う体制 を整えています。

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当社の事業内容(プレス板金塗装)もご覧ください

【種類別】代表的な溶接の使い分け方 (TIG/アーク/抵抗溶接)

「溶接」 と一口に言っても、その方法は様々です。どの溶接方法を選ぶかによって、製品の「仕上がりの美しさ」「強度」「コスト」が大きく変わってしまいます。

ここでは、板金加工で特によく使われる3つの代表的な溶接方法 の違いと、使い分け方を解説します。

1. TIG溶接(ティグ溶接)

  • 特徴: 電極(タングステン)と母材(製品)の間にアーク(電気の火花)を発生させ、その熱で母材を溶かします。多くの場合、片手で「溶加棒(溶接棒)」と呼ばれる金属の棒を溶かし込みながら接合します。
  • メリット: 火花が飛び散らず(スパッタレス)、溶接跡(ビード)が非常に美しく仕上がります。薄板(0.5mm程度~)の精密な溶接が得意です。ステンレスやアルミの溶接にも多用されます。
  • デメリット: 作業スピードが遅いため、コストは高めになります。
  • 使い分け: 人目に触れる場所、制御盤の筐体、厨房機器、医療機器など「見た目の美しさ(美観)」が最優先される製品。

2. アーク溶接(手棒溶接・半自動溶接)

  • 特徴: 溶接棒自体が電極となり、溶けながら母材と一体化していきます。一般的に「溶接」と聞いてイメージされる、火花が激しく飛び散る方法(手棒溶接)や、溶接ワイヤーが自動で供給される「半自動溶接(CO2/MAG溶接)」もこの一種です。
  • メリット: 溶接金属が深く溶け込むため、非常に高い強度が得られます。作業スピードも速く、屋外での作業にも向いています。
  • デメリット: 溶接跡がゴツゴツしやすく、火花(スパッタ)が周囲に付着するため、後処理(サンダー仕上げなど)が必要。薄板には不向き(穴が開きやすい)。
  • 使い分け: 強度が最優先される製品。厚板(3mm以上~)の接合、建築鉄骨、産業機械のフレーム、自動車の足回りなど。(※泉商事がメインとする鉄材 の加工で多用されます)

3. 抵抗溶接(スポット溶接)

  • 特徴: 接合したい2枚の金属板を電極で強く挟み込み、そこに大電流を流すことで、電気抵抗による熱で金属を溶かし「点(スポット)」で接合します。
  • メリット: 加工時間が極めて速い(1点あたり数秒以下)ため、大量生産に最適でコストも安い。
  • デメリット: 点でしか接合できないため、水密性・気密性はありません。挟み込むためのスペースが必要です。
  • 使い分け: 薄板の「面」と「面」の接合。自動車のボディ、家電製品(洗濯機、冷蔵庫)の筐体、スチール家具など、大量生産される製品。

【悩み別】「見た目」「強度」「コスト」で選ぶ最適な溶接方法

どの溶接方法を選ぶべきか迷った際は、貴社が製品に求める「優先順位」で判断するのが早道です。

優先順位 最適な溶接方法 理由
最優先:仕上がりの美しさ
(例:人目に触れる外装カバー)
TIG溶接 溶接跡が滑らかで美しく、後処理の工数を最小限に抑えられます。
最優先:強度・耐久性
(例:重量物を支えるフレーム)
アーク溶接(半自動溶接) 材料の奥深くまで溶け込む(溶け込みが深い)ため、接合強度が最も高くなります。
最優先:コスト・生産スピード
(例:月産10,000個の部品)
抵抗溶接(スポット溶接) 1点あたりの加工時間が圧倒的に短く、自動化にも適しているため、量産コストを劇的に下げられます。

泉商事では、これらの溶接方法(TIG、アーク、抵抗溶接、ロー付けなど) のすべてに対応可能です。お客様の製品の用途、材質(鉄材 、ステンレスなど)、予算、必要ロット数に応じて、専門の技術者が最適な溶接方法を選定し、ご提案します。

他社比較:なぜ「板金から溶接まで」を一貫で頼むべきなのか?

板金加工 と溶接加工 は、一連の流れ作業であると述べました。しかし、世の中には「板金(曲げ)までしかできない工場」や「溶接専門の工場」が数多く存在します。もし、これらを別々の業者に発注した場合、どのような問題が起こるでしょうか?

  • 問題1:精度のズレによる品質低下
    溶接の品質は、前工程である「板金(曲げ)」の精度に100%依存します。例えば、曲げの角度が90°であるべきところ、91°にズレていた場合、溶接する「角」の部分には大きな隙間が空いてしまいます。溶接専門の業者は、この隙間を埋めるために大量の溶接肉を盛るしかなく、結果として「見た目が汚い」「強度が不安定」「熱による歪み(ひずみ)が大きい」といった不良品が生まれます。
  • 問題2:責任の所在が不明確になる
    歪んだ製品が納品された時、「板金の曲げ精度が悪い(A社の責任)」のか、「溶接の熱のかけ方が悪い(B社の責任)」のか、責任の所在が曖昧になります。これでは迅速な原因究明と対策は不可能です。
  • 問題3:コストと納期の増大
    A社(板金)からB社(溶接)への「輸送コスト」や「輸送時間(リードタイム)」が、工程ごとに発生します。また、発注担当者様がA社とB社の両方と打ち合わせ・納期管理を行う「管理コスト(人件費)」も、目に見えないコストとして積み重なります。

これらの問題をすべて解決するのが、泉商事の「一貫生産体制」 です。

単に板金と溶接だけでなく、プレスから板金、溶接、塗装までを一貫して行う体制により、工程間の無駄を徹底的に排除。これにより、お客様が求める大幅なコストダウンと、安定した品質の確保を実現します。

まとめ:高品質な溶接は、高品質な板金加工から

本記事では、「板金」 と「溶接」 の違い、その関係性、そして代表的な溶接の使い分けについて解説しました。

  • 「板金加工」は、金属板を「切る」「曲げる」ことで部品を作る工程 。
  • 「溶接加工」は、板金部品同士を熱で接合し、立体製品を完成させる工程 。
  • 溶接には「TIG(美観)」「アーク(強度)」「抵抗スポット(コスト)」などがあり、製品の要求品質によって使い分ける 。
  • 最高の溶接品質は、前工程である「板金の精度」と、両工程の「緊密な連携」によってのみ達成される。

「板金」と「溶接」は、決して切り離して考えることはできません。どちらか一方の技術が優れているだけでは、お客様が満足する製品は作れないのです。

泉商事株式会社は、金型製作(協力メーカー連携)・プレスから、鉄材をメインとした精密な板金・溶接、そして後工程の塗装・組立まで、すべてをワンストップでご提供する「一貫生産体制」を構築しています。

「見た目も強度も妥協したくない」
「板金から溶接・塗装まで、丸ごと任せて管理工数を削減したい」
「現状の溶接品質に不満がある」

そのような課題をお持ちの担当者様は、ぜひ一度、泉商事にご相談ください。板金と溶接、両方のプロフェッショナルとして、貴社のモノづくりを強力にサポートします。

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