記事公開日
最終更新日
射出成形の大型機と中型機の違いとは?設備規模・成形圧力を比較
目次
導入:「大型機」と「中型機」、何が違う? 発注前に知るべき違い
「自動車のバンパーのような、大きなプラスチック製品を作りたい」
「工場のリストに"大型射出成形機保有"とあるが、"中型機"と何が違うのだろう?」
「製品サイズに対して、どのくらいの機械(成形機)が必要なのか、見当もつかない」
射出成形の世界では、機械のサイズが「作れるモノ」を決定づける絶対的な要素となります。しかし、製造業の担当者様であっても、「大型機」と「中型機」の具体的な違いや、なぜそのサイズが必要なのかを正確に説明できる方は多くありません。
もし、製品サイズと機械の能力がミスマッチな業者を選んでしまうと、「そもそも成形できない」「成形できてもコストが異常に高い」といった致命的な失敗に繋がります。
この記事では、プラスチック成形の発注を検討されている担当者様に向けて、以下の点を徹底的に比較・解説します。
- 「大型機」と「中型機」を分ける絶対的な基準=「型締力(成形圧力)」
- それぞれの「設備規模」、コスト、作れる製品の決定的な違い
- なぜ「大は小を兼ねない」のか、その理由
- 大型製品の発注で失敗しないための「業者選びのポイント」
この記事を読めば、射出成形機のサイズの違いが明確になり、貴社の「大型製品」の製造を安心して任せられるパートナーを見極める知識が身につきます。
射出成形機の「サイズ」とは? 大型機・中型機の定義
射出成形機の「大型」「中型」「小型」といったサイズ(クラス)は、機械の物理的な大きさや重さではなく、その機械が持つ「型締力(かたじめりょく)」によって決まります。
型締力(単位:トン / tf)とは?
射出成形は、金型の中に溶けたプラスチックを高圧(成形圧力)で注入します。この時、金型がその圧力に負けて開いてしまわないように、機械が金型をガッチリと締め付ける力、それが「型締力」です。
例えば、「型締力300トン」の機械とは、「300トンの力で金型を締め付ける能力がある機械」という意味です。当然、型締力が大きければ大きいほど、より強い射出圧力に耐えることができ、結果として「より大きな製品(=投影面積が大きい製品)」を成形することができます。
明確な定義はありませんが、業界では一般的に以下のように分類されます。
- 小型機: 100トン未満
- 中型機: 100トン ~ 800トン未満
- 大型機: 800トン以上(850トン、1,000トン、1,300トン、1,500トン、3,000トン超など)
泉商事では、小型・中型機の対応はもちろん、他社では対応が難しい「大型射出成形機」を保有しており、あらゆる製品サイズに対応できる体制を整えています。
徹底比較:大型機 vs 中型機(型締力・コスト・設備規模)
では、「大型機」と「中型機」では、具体的に何が違うのでしょうか。型締力800トンクラス以上の「大型機」と、300トンクラスの「中型機」を例に比較してみましょう。
| 比較項目 | 大型機(例:800トン~) | 中型機(例:300トンクラス) |
|---|---|---|
| 型締力(成形圧力) | 非常に強い(例:800トン以上) | 標準的(例:300トン) |
| 作れる製品サイズ | 非常に大きい(例:自動車バンパー、大型筐体) | 中~小型(例:家電の外装、A4トレイ程度) |
| 搭載できる金型 | 巨大・超重量(数トン~数十トン) | 中サイズ(数百kg~数トン) |
| 設備規模(機械本体) | 巨大(工場1フロア分、大型クレーン必須) | 大きい(乗用車数台分) |
| イニシャルコスト(設備投資) | 極めて高額(数億円~) | 高額(数千万円~) |
| ランニングコスト(時間単価) | 高い(消費電力、メンテナンス費大) | 標準的 |
この表から分かる通り、大型機は「作れる製品サイズ」が圧倒的に大きい代わりに、「設備規模」と「コスト」も桁違いに大きくなります。大型機を保有・維持するには、広い工場、大型クレーン、膨大な電力、そして高度なメンテナンス設備と技術が必要であり、どの工場でも扱えるものではありません。
【実績製品例】大型機でしか作れないモノ、中型機が最適なモノ
泉商事が手掛ける製品例を、必要な機械のサイズ別にご紹介します。
- 【大型機の事例】(800トン以上が必要な製品)
製品例:自動車のバンパー、インパネ、大型コンテナ、産業用機械の大型筐体
これらは製品の「投影面積(金型が開く方向から見た面積)」が極めて大きいため、射出時に金型を開こうとする力も強大になります。800トン、1000トンといった強力な型締力を持つ「大型機」でなければ、射出圧に負けて金型が開き、樹脂が漏れ出し「バリ」だらけになってしまいます。泉商事は、こうした大型製品の成形実績が豊富です。 - 【中型機の事例】(100~800トンが最適な製品)
製品例:OA機器(プリンターなど)の外装、エアコンの室内機カバー、中型サイズの機構部品
日本国内のプラスチック成形で最も多く使われるクラスです。コストと生産能力のバランスが良く、幅広い製品に対応できます。泉商事でも、もちろん中型機を多数保有し、お客様のニーズに柔軟に対応しています。
「大型成形」の依頼先でお困りではありませんか?
「このサイズの製品は、どの機械で成形できる?」
「大型機を保有していて、金型から組立まで任せられる工場を探している」
泉商事なら、「大型射出成形機」と「一貫生産体制」で貴社の課題を解決します。
当社の射出成形事業や第二工場(射出成形工場)もご覧ください
射出成形機のサイズ選定でよくある質問・悩み
成形機のサイズ選定は、専門的な知識が必要なため、多くの担当者様が疑問を抱えています。よくある質問にお答えします。
Q1. なぜ「大型製品」には「大型機」が必要なのですか?
A. 製品の「投影面積」に必要な「型締力」を確保するためです。
前述の通り、溶けた樹脂を金型に注入する際、金型内部からは外に開こうとする強大な圧力(成形圧力)が発生します。この圧力は「製品の投影面積 × 金型内圧」で計算されます。
製品が大きくなればなるほど(=投影面積が大きくなるほど)、この「開こうとする力」は爆発的に増大します。その力に打ち勝って金型を閉じておくために、より強力な「型締力」を持つ「大型機」が必要になるのです。
Q2. 「大は小を兼ねる」? 大型機で小さな部品も作れますか?
A. 理論上は可能ですが、コストと品質の面で「絶対にNG」です。
例えば、1000トンの大型機で、本来50トン機で成形すべき小さな部品(例:歯ブラシ)を作ろうとすると、以下のような問題が発生します。
- コストの無駄: 1000トン機の時間当たり稼働コスト(チャージ)は、50トン機の何倍にもなります。軽自動車で十分な場所に、大型ダンプカーを動かすようなもので、莫大なコストの無駄です。
- 品質の不安定化: 大型機は、注入する樹脂の量(射出容量)も大きすぎます。小さな部品に必要な「ごく少量の樹脂」を、巨大なシリンダーで精密に計量・射出するのは非常に難しく、品質が安定しません。
結論:製品サイズ(投影面積)と金型の大きさに「ジャストフィット」する機械を選ぶことが、品質とコストを両立させる絶対条件です。
【悩み別】「なぜ大型機が必要?」「コストは?」「大は小を兼ねる?」
悩み1:「作りたい製品が大型。どの工場に頼めばいいか分からない」
解決策: 「大型射出成形機」 の保有を明記している工場に相談してください。
前述の通り、大型機は設備投資と維持コストが莫大なため、保有している工場は全国でも限られています。まずは、泉商事のように「大型成形対応」「800トン以上の機械を保有」と明記している工場に、製品の図面(サイズ)を提示して相談するのが近道です。当社(第二工場)では、大型製品の成形に豊富な実績があります。
悩み2:「大型機だとコストが高くなりそうで心配だ」
解決策: 製品に最適な「ジャストサイズ」の機械を持つ業者を選んでください。
大型製品に必要なコストは、大型機で成形する以上、必ずかかります。問題は、中途半端なサイズ(例:600トン機)しかない工場が、無理やり大型の仕事を受注しようとすることです。
泉商事のように、中型機から大型機まで幅広く保有している工場であれば、「その製品には600トン機が最適です」「これは1000トン機でないと無理です」と、製品のサイズに見合った「最適な機械」をアサインできるため、結果として最も無駄のないコスト(適正価格)で生産が可能です。
悩み3:「大型の金型の手配と、成形工場の選定が別々で面倒だ」
解決策: 「金型設計」 から 「大型成形」 まで一貫対応できる工場に任せてください。
大型製品の成形は、大型金型の設計ノウハウ(例:ヒケを防ぐ冷却回路設計、ソリを防ぐゲート位置)と、大型機の特性を熟知した成形技術の両方が揃って初めて可能になります。これらを別々の会社に発注すると、不具合が出た際に「金型が悪い」「成形が悪い」と責任の押し付け合いになりかねません。
泉商事なら「金型~組立までの一貫対応」 が可能です。大型金型の設計段階から、当社の大型成形機で成形すること(=成形ノウハウ)を前提に設計するため、トラブルがなく、最短距離で高品質な大型製品を立ち上げることができます。
他社比較:なぜ「大型機保有」と「一貫対応」が重要なのか?
射出成形工場を選ぶ際、「大型機」の有無と「一貫対応」の可否は、決定的な差別化ポイントとなります。
泉商事の強み:大型機 + 一貫対応
- 他社A(中型機のみ、成形専門)
最も一般的な工場。しかし、大型製品(例:自動車バンパー)の受注は物理的に不可能です。 - 他社B(大型機保有、成形専門)
大型製品の成形は可能ですが、金型は外部(金型屋)に発注する必要があります。金型と成形機の「相性」が悪かった場合、調整に多大な時間がかかり、納期遅延やコストアップのリスクを抱えます。 - 泉商事(大型機保有 + 金型からの一貫対応)
大型製品の受注が可能であることはもちろん、その大型製品に最適な「金型」を自社(または緊密な連携)で設計・製作できます。「大型金型」と「大型成形機」の両方を熟知しているため、ヒケ・ソリなどの難易度の高い問題を設計段階からクリアでき、高品質・短納期・低コストでの大型製品の量産を実現します。
つまり、大型製品の発注において、「大型機を保有」しており、かつ「金型からの一貫対応」ができる泉商事は、お客様にとって最もリスクが少なく、トータルメリットの大きいパートナーであると自負しています。
まとめ:大型成形は、大型機と金型ノウハウを持つ泉商事へ
本記事では、「大型機」と「中型機」の違いについて、設備規模や成形圧力の観点から解説しました。
- 射出成形機のサイズは、金型を締め付ける力「型締力(トン数)」で決まる。
- 大型機(800トン~)は、型締力が強く「大型製品」が作れるが、設備規模もコストも桁違いに大きい。
- 中型機(100~800トン)は、コストと能力のバランスが良く、最も多用される。
- 「大は小を兼ねる」はNG。製品サイズに「ジャストフィット」する機械を選ぶのが鉄則。
- 大型製品の発注は、「大型機を保有」し、かつ「金型からの一貫対応」 が可能な業者を選ぶことが成功の鍵。
大型のプラスチック製品を安定して製造するには、大型機という「ハード」と、大型金型の設計や成形ノウハウという「ソフト」の両方が不可欠です。
泉商事株式会社は、中型機から大型射出成形機までを幅広く保有し、お客様の製品サイズに最適な機械をご提案します。さらに、金型の設計・製作から、成形、塗装、組立までをワンストップでサポートする一貫生産体制を構築しています。
「この大型製品、どこに頼めばいいか分からない」
「大型の金型から成形まで、丸ごと任せたい」
そんな課題をお持ちの担当者様は、ぜひ一度、泉商事(第二工場)にご相談ください。貴社の大型製品開発を、ハードとソフトの両面から強力にサポートします。
大型射出成形のことなら、泉商事にお任せください
大型射出成形機を保有。金型設計から大型成形、組立までワンストップで対応します。
自動車部品、産業機器の大型筐体など、豊富な実績がございます。
お見積もり・ご相談は無料です。
